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不同視弱視を治療して7年、娘の治療経過を伝えたい理由

娘(現在11歳)は、4歳の時に不同視弱視という診断を受けました。「娘は生まれつき右目がほとんど見えていなかった」と初めて知った時、私は心配で心配でネットを駆け巡りました。

「不同視弱視は治るのか」「治るとしたらどのくらいの年月がかかるのか」、とにかく他の不同視弱視のお子さんの実例が知りたかったです。

でも、時系列で不同視弱視の治療について書いていている人が見つかりませんでした。「前よりちょっと良くなりました」って書いてあっても、前の視力が書いてない。治療開始時期も書いてない。

ですから私が、娘の不同視弱視の治療経過を時系列でまとめました!このたび過去のメモをあさり、4歳で不同視弱視と診断されたうちの子供が11歳でメガネを卒業するまでの7年半の記録を書きました!

目次を置いておきますので、必要なところを読んでください。治療経過の概要を知りたい方は最後のグラフがお薦めです。

※また、このブログが初めての方は→こちらで私の自己紹介とおすすめ記事をご覧いただけます。

「不同視弱視 経過」とか「不同視弱視 子供」というキーワードで検索した時、このページが上位表示され、これから治療する子供さんとママの参考になりますよう、切に祈ります。グーグルさん本当にお願いしますよ!

不同視弱視の治療開始時、左目は1.2なのに右目が0.1でした

娘が視力の異常を指摘されたのは年中さんの春(4歳)、2010年のことでした。保育園で行われた視力検査でひっかかり、区役所の検査に回され、そこから小児専門眼科を紹介されて受診しました。3時間に渡って検査した結果、左目は裸眼で1.2あるのに、右目は裸眼で0.1程度、矯正しても0.2でした。右に遠視があり、いわゆる「不同視弱視」と診断されました。

【2018年2月27日追記】遠視の度数を具体的に知りたいというコメントを複数いただきましたので、2010年当時の書類を探しました。貼っておきますね。遠視の度数としては+4.25です。

子供 不同視弱視 度数

「弱視」とはメガネやコンタクトをしても視力が出ない状態を言います。私は近視で視力は0.04程度ですが、眼鏡をかければ視力が出ますので、そういう人は弱視とは言いません。裸眼でどんなに視力が出なくても矯正して見えるなら生活はしていけます。弱視の怖さはどんなレンズを通しても見えないこと。

そして「不同視弱視」とは左右の視力差があって、片方が弱視という状態です。ちなみに不同視弱視という症例自体はそれほどめずらしくはありません。うちの子供の同級生でも娘の他に2名いて、1学年120人中3人いる状態です。私の周りでは40人に1人という確率ですね。

ですが、3歳健診や幼稚園での視力検査、就学健診などで突然「あなたの子供は片目が見えてませんよ」と言われたら、親としては非常に心配になりますよね。私も当時は「自分の子だけが大変な事になっている」と思い大ショックでした。

不同視弱視の治療、アイパッチの時間と難しさ

不同視弱視の治療はシンプルで主に2つ。一つは治療用メガネをかけること。もう一つはアイパッチ(片目用の眼帯シール)をすることです。視力が出る方の目をアイパッチでふさぎ、見えない方の目だけで過ごすのです。子供の目は成長途中なので、それによって弱視の目の視力が育つとされています。不同視弱視の子は、これを幼少期にやらないと、ますます見える方の目に頼り、見えない方の目を使わなくなり、さらに弱視が進むという話でした。

1日にアイパッチをつける時間は年齢や状態によって様々とあちこちに書いてますが、それって何の参考にもならないですよね(笑)。うちの娘が4歳4ヵ月で治療をはじめた時、アイパッチ1日5時間と医師から指示されました。

アイパッチは子供にとって相当な負担です。左目なら見えるのに、その左目をアイパッチでふさがれて、ほとんど見えない右目だけで日常生活を送るわけです。テレビもごはんもよく見えない。4歳の娘には相当なストレスでした。少しでも楽しくアイパッチを付けられるように、私がアイパッチにマジックで絵を描いてました。アンパンマンとか食パンマンとか。

※11/24追記:懐かしい画像見つけたので貼っておきます。毎晩アイパッチをはずす時に、私が作ったカレンダーにシールを貼らせて「今日も頑張ったね」と褒めてました。アイパッチは使い捨てですが、娘が気に入った絵柄のものは少し取っておいてました(参考にしてまた絵を描くためです。笑)

不同視弱視の治療、治療用メガネの値段など

娘が4歳4ヵ月の治療開始時、初めて購入したメガネは、フレームが2万弱、レンズが2万と少し、キズ防止コートと、ずれを防ぐ耳あて、全部で4万5000円くらいでした。

ただ子供の治療用メガネの購入費は、健康保険組合で定められた手続きをすると7~8割戻ってきます。「小児治療用眼鏡等に係る療養費の申請」で検索してみてください。9歳未満など一定の条件がありますが、金銭的にだいぶ助かりますのでぜひ申請しましょう。

うちの子供はメガネも嫌がりました。軽いしとても似合っていたのですが、やはり保育園でお友達から「なんでメガネなの?」と言われるのがとてもイヤだったようです。あらかじめ保育園と話し合って、メガネのこと等を他の子に話してもらったんですけどね。

園長先生に叱られた!弱視治療の覚悟が出来た日

メガネを作りに行って、それが出来上がるまでの間に保育園と話し合いを持ちました。そこで園長先生にピシャリと言われたのが…

お母さん、『頑張ってメガネかけようね』じゃないです。『必要なので今日からあなたはメガネをかけます』と言い切ってください。お母さんに少しでも気持ちの揺れがあると悪影響です。うちの職員にもそういう言い方をさせますから、覚悟きめてください。

間違っても『メガネかけて』なんてお願い姿勢はダメです。『メガネかけられる?』なんて言い方も絶対ダメ。かける・かけないを選ぶ余地はないんです。ユイちゃん自身のために『かける』以外ないんですから。泣いても、暴れても絶対毎日メガネをかけさせて、必ずアイパッチを5時間つけるんです。

確かにその通りなんですが、言われた時は結構キツかったです。この時まで私は、メガネをかけさせること自体かわいそうだと思ってました。しかも娘は個性的な子供だったので、この当時4歳ですがまだまだ感情のコントロールが難しく、延々と泣き続けることもありました。

でも、子供のうちに治療しなければ右目の弱視が進む。メガネをかけてもコンタクトをかけても右目が見えない大人になってしまう。車の免許も取れないかもしれない。娘の将来のために、矯正(メガネやコンタクト)でいいから右目の視力が出る状態になるまで頑張らなくては!と覚悟が出来ました。

治療を開始して1カ月半、視力が上がる

診断が確定したのが2010年6月。メガネが出来上がりアイパッチを付け始めたのが7月上旬。初めての定期検査で病院に行ったのが8月下旬でした。視力検査の結果は、左1.2(裸眼) 右0.6(矯正)※裸眼測定せず

視力が上がっていてとても嬉しかったのを覚えています。毎日メガネをかけ、アイパッチも5時間つけていました。でもアイパッチ、一日だけ忘れました。キャンプに行ったとき、友達の子どもが9度の熱を出して、友達が不在の間、オロオロしながら様子を見ていたら、わが子のアイパッチのことが、どこかに飛んで行ってました(笑)

視力は上がりましたが、医師が言うには「これで安心しないでください。まだ全く安定した視力ではありません。今日はこの結果が出ましたが、アイパッチをやめたらすぐに逆戻りです。しっかり続けてください」と言われました。

治療を開始して4ヵ月、さらに視力が上がる

2010年の10月末、2回目の定期検査に行きました。視力検査の結果は左1.2(裸眼) 右0.9(矯正)※裸眼測定せず

順調に視力が上がっていてホッとしました。どんなレンズを通しても0.1以上視力が出なかった娘が、0.9まで見えるようになりました。メガネをかけた状態なら左右同じくらいで見えているということで「良かった…」と思いました。

小さい頃からうちの子供は段差を怖がり、階段や平均台なども苦手でしたが、医師が言うには「見え方が普通の子とは違っていたから怖かったのかもしれませんね。」ということでした。左右に視力差があると、遠近感や立体感を正しく把握できないそうです。歩くのも遅かったので単なる運動音痴だと思っていました(笑)

治療を開始して7カ月後、矯正視力1.0が出ました

2011年2月上旬、3回目の定期検査に行きました。本当は1月に予約を入れていたのですが、発熱で行けず。その後最短で取れた予約が2月上旬でした。娘が通っている眼科は小児専門でいつもとても混んでいます。視力検査の結果は左1.2(裸眼)右0.9(裸眼)、左1.2(矯正)右1.0(矯正)、この時は久しぶりに裸眼の視力も計測しました。

メガネをかければ1.0、裸眼でも0.9見えるようになりました。治療を始めた時期が早かった(4歳4ヵ月)からか、医師からはとても順調だと言われ嬉しかったです。もちろんこれは一時的なもので、アイパッチをやめればすぐに視力が落ちるそうです。相変わらず5時間アイパッチをしていました。

治療を開始して9か月、アイパッチの時間が減る

2011年4月下旬、4回目の定期検査の結果は左1.2(裸眼)右0.8(裸眼)、左1.2(矯正)右1.0(矯正)でした。若干右目の裸眼視力が落ちましたが、許容範囲とのこと。

前回の定期検査から2か月半の間に娘は5歳になりました。体調が大変悪く、中耳炎と熱を繰り返し、インフルエンザにもかかりました。それに2011年3月11日に東日本大震災がありました。関東に住んでいる私たちは直接被災はしていませんが、計画停電が繰り返され、正直アイパッチのことを忘れていた日多数。大丈夫かなと思いましたが、何とか現状維持でホッとしました。医師から「アイパッチの時間を少し減らします」という話があり、これまでの1日5時間から4時間に変更になりました。

治療開始してもうすぐ1年、矯正視力1.2が出ました

2011年6月に行った定期検査では左1.2(矯正)右1.2(矯正)でした。約1年前の6月不同視弱視と診断され、7月から治療を始めましたのでもうすぐ1年。矯正しても0.1しか出なかった右目が、レンズを通せば1.2見えるという結果に。

治療を開始して1年1カ月、メガネ2本目を購入

2011年8月中旬の定期検査左1.0(矯正)右1.0(矯正)でキープ。アイパッチは1日2時間で良いと言われ、かなり楽になってきました。だいぶ視力が上がったのでメガネを変えましょうと主治医から言われ、2本目のメガネを購入しました。

メガネは近所のお店が絶対お薦め!

1本目のメガネはデパートで購入したのですが、うちからは電車で20分。遠くはないけど近くもない。うちの子供は当時4~5歳でしたので、とにかくよくメガネが壊れました。遊んでいて変形するなんてしょっちゅう。それを電車にのって直しに行くのが、フルタイムで働くシングルマザーにとって大変な苦痛でした。自分だけチャチャッと行くなら早いのですが、メガネなんで子供本人も連れて行かないと最後合わせられないんですよね。。。

そんなわけで2本目のメガネは自分の最寄り駅の駅前30秒の老舗眼鏡屋で買いました。高かった気がしますが(1本目は記録があったけど、2本目がいくらだったのか探しても分からなかった。ごめんなさい。)、とにかく壊してもすぐ直してもらえるのが良かったです。子供のメガネは近所で買うのが絶対お薦めです。

治療を開始して1年3か月、アイパッチが1日1.5時間になった

2011年10月中旬の定期検査は、左1.5(矯正)右1.5(矯正)という結果で、メガネを変更したあとも経過は順調でした。主治医も「よく見えている」と褒めてくれて、アイパッチが1日1.5時間になりました。治療を始めたころは1日5時間だったので、夕方4時から寝る直前までアイパッチをしていないと5時間のノルマを達成できませんでしたが、それに比べて格段に楽になりました。

治療を開始して1年半、経過良好&小学校入学に向けて

年が明けて2012年1月、定期検査の結果は左1.5(矯正)右1.5(矯正)でした。主治医からは「経過が良いので、今さら少しメガネをしていなくてもすぐに視力が下がることはないでしょう。ただ、左右の目を両方使ってモノを見る癖をつけていくために、引き続きメガネをかけましょう。アイパッチももう少し。」との話がありました。

うちの子供は3月生まれなので、この時点でまだ5歳ですが、そろそろ小学校入学が迫っていました。既に行われた就学健診で「弱視を治療中」という話をしたところ、「後日改めて面談を」と言ってくださり、小学校へ出かけました。

不同視弱視の子に対する小学校の対応

娘はメガネで左右1.5まで見えるので、就学健診でもひっかかることなく、普通級が決定していましたが、校長先生・副校長先生・保健室の先生・特別支援の先生の4人の先生方がそろって面談に参加してくださいました。驚きました。支援の先生は弱視にも知識のある方のようで、弱視の子の見え方はLD(学習障害)の子に似ていると教えてくれました。

普通の子供は、×は斜線が二本重なっているように見えますが、弱視やLDの子は、> <のように見えたりするそうです。それによって形の認識が難しく、本人は一生懸命やっているのになかなか勉強が進まない、分からないというようなこともあるという話で、「しっかり見守っていきます」と言ってくださりとても安心しました。

治療を開始して1年10カ月、ついにアイパッチ卒業

2012年3月、娘は誕生日が来て6歳になりました。そして4月下旬、娘が小学校に入学して落ち着いた頃、定期検査に行きました。左1.2(矯正)右1.2(矯正)という結果を受け、主治医が娘に「今日からアイパッチしなくていいよ!」と言ってくれました…!涙が出るくらい嬉しかったです。約2年の間、娘は毎日アイパッチを貼り続け、本当によく頑張りました。

治療開始後2年ごろの様子、3本目のメガネ

2012年6月下旬、定期検査の結果は左1.2(矯正)右1.2(矯正)でした。二か月後の8月下旬、医師から「メガネを変えましょう」との話があり、3本目のメガネを作りました。

10月(6歳8か月)定期検査の結果は相変わらず左1.2(矯正)右1.2(矯正)で、経過が良好のため今後は4か月おきの通院で良いと言われました。年に3回!!ラクになりました。

治療開始後3年ごろの様子、特に変化なし

1年生の春にアイパッチを卒業し、夏に3本目のメガネを作ったあと、特に変わった様子もなく、その後は4ヵ月に1回通院していました。すっかり私も安心したのか、記録がほとんど残ってません。2013年11月/7歳9カ月(2年生秋)の定期検査は矯正視力(右)1.5(左)1.5でした。

ここまで来ると「メガネを卒業できる日が来るんだろうか…」という淡い期待を持つようになりました。でも主治医いわく「目が完成すると言われる9歳まではメガネをかけましょう」とのこと。

治療開始後4~5年ごろの様子、9歳直前に新メガネ

相変わらず4ヵ月に1回通院していました。通っていた眼科は子供専門でとにかく混んでいて、毎回3時間くらいかかるんです。もちろん平日しかやってません。フルタイムで働くシングルマザーとしては非常に気が重い通院でしたが、せっかく良くなった娘の目ですから、4ヵ月に1回地道に通いました。

2015年の2月下旬の定期検査で主治医から「良くなってるから、さらに度(遠視)を下げましょう」という話があり、4本目のメガネを作ることになりました。そしてそれがとても急ぎだった!!なぜなら…弱視の子の治療用メガネは国から補助が出るのですが、それが9歳以上の子供は適用外なのです。つまり9歳になる前に買わなくてはならない!3月の娘の誕生日までに(笑)!バタバタと新メガネを買いました。

治療開始後7年すぎ、メガネを卒業しました!!

2017年の夏、娘は11歳でメガネを卒業しました。長かった…7年かかりました。でも4歳で治療を始めた頃は、どんなレンズを通しても右目は0.1~0.2程度しか見えなかったのです。「レンズを通してでいいから、0.8程度は見えるように…」という気持ちで治療を始めましたが、レンズを通さなくても両目1.2というところまで来れました。

正確に言うと「普段はメガネをかけずに生活しましょう。勉強する時、細かい作業をする時に見えづらかったら、新メガネをかけましょう」という医師の指示です。ですから5本目のメガネを購入しました。

例のごとく、地元の老舗眼鏡店に行きまして、5本目のメガネを購入したわけですが、そこのおじさんがもう涙ながらに喜んでくれました。なんせ2本目のメガネ(娘5歳)から、7年ず~っと通ってますから。保育園時代はもう毎週のように曲がったメガネを直してもらいました。「こんなに度が軽くなって、メガネかけなくても見えるようになって、本当に良かったね。頑張ったね。あんな小さい子供だったのにすっかりお姉さんになって…本当に大きくなったね(涙)」と言われ、私も泣きそうになりました。

絶対書きたかった!不同視弱視の経過

娘が4歳で「右目がほとんど見えていない」「治療をしないと右がどんどん見えなくなる」と言われた時、私は背筋が凍る思いでネットを駆け巡りました。でも不同視弱視で治療中の子供のママのブログにたどり着いても、日常の様子(幼稚園の行事やお出かけなど)の中で時々「病院にいきました。ちょっと良くなりました。」という書かれ方ばかり。

不同視弱視についての経過が読みたいのに、育児ブログの中でその部分を探すことが非常に困難で、そのうち更新が止まって1年以上放置…という育児ブログも多数。もちろんブログに何をどう書こうと個人の自由なのですが、生の声(不同視弱視の経過)がなかなか見つかりませんでした。知恵袋みたいなところで多少は様子が分かりましたが、情報が断片的でどのように視力が回復していったのかよく分からない。

お医者さんが不同視弱視について解説しているページも私には全く役に立ちませんでした。「不同視弱視がどういうものか」「どんな治療をしていくか」ということばかり書いてあり、それは既に病院で聞いた話。「実在する不同視弱視の子供がどのように視力が回復したかORしなかったか」という情報を知りたい…!!

そんなお母さんがきっと私の他にもいるだろうと思ってました。だから「いつかウチの子供が治ったら、絶対ブログに書いて伝えよう!」と思ってました。やっと書けました^^ もちろん子供の不同視弱視の治療経過には個人差もありますし、私は医者でも何でもないですが、「治ったケースもあるよ!」「視力はこういうふうに伸びていったよ!」「メガネは7年間で5本買ったよ!」という実例を伝えたかったです。これから治療する子供さんとママの参考になりますように。

最後に娘の治療経過をグラフにして載せておきます

左側が青(矯正視力)の軸で0.2から1.2あたりまで伸びていく推移です。右側が赤(アイパッチ着用時間)の軸で最初5時間からだんだん減って0時間になっていく推移です。